登記実務において、たまに分筆前に土地(建売)の売買契約に基づいて所有権移転登記を

受託することがあります。分筆前の土地の売買契約そのものは、判例によれば、

一筆のうちの一部にも物権が成立し、分筆前の土地の一部にも、所有権を肯定し、

譲渡できるとされているため、契約そのものは有効です。

一方で、司法書士として登記原因証明情報を作成する場合に少し頭を悩ませます。

本来的には、

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登記の原因となる事実又は法律行為

(1)年月日、以下の不動産について売買契約を締結した。

  所在 ★区★町   地番 ●番1   

  地目 宅地   地積 100㎡(このうち50㎡を分筆し、売却対象とする)

(2)当該契約には、売主の分筆義務と所有権移転時期特約がある。

(3)上記の不動産について、以下のとおり分筆が完了した。

  所在 ★区★町   地番 ●番2   地目 宅地   地積 50㎡

(4)年月日残代金の支払いがなされた。

(5)よって、所有権は移転した。

不動産の表示

 所在 ★区★町   地番 ●番2   地目 宅地   地積 50㎡

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という形にするのが、最も事実に沿うような感じがします。

 

ただ、実務上このような分筆に触れる登記原因情報を作らず、契約当初から、

さも分筆されていたような書式の登記原因証明情報を作っても登記は

今まで受理されてきましたし、他の司法書士も分筆に触れる

登記原因証明情報を作ることは少ないのではないかと思います。

 

ただ、厳密にいえば事実とは相違すると言われればそうなので、機会があれば

分筆に触れる登記原因証明情報で登記を出してみたいと思います^^